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メタルフリーの治療?

治療が終了して10年は経過している症例です。

上の奥歯の治療は、

金属クラウンにて。

メタルフリーの治療が流行っている昨今ですが、

私は金属のクラウンが好きです。

この症例からも判るように、

金属が対合する歯にて、

大きく摩耗しています。

セラミックにて治療したならば、

割れるか?

歯の根に大きな負荷が架かるでしょう。

睡眠時の噛み締める大きな力は、

私らにはコントロールできません。

この患者さんには、

睡眠時のマウスピースは使えません。

ソレは、

顎の関節の形からの、

私の診断基準から。

マウスピースの使用により、

関節円板と云う組織が、

前方に落ち込んでしまうからです。

この辺りは、

日本歯科大学の小出馨教授の研究報告から。

なんでもかんでもマウスピースと云うのは、

大きな間違いが生じます。

と云う訳で、

睡眠時のマウスピースを使えない、

このような患者さんの治療に対しては、

金属のクラウンが最適だと。

セラミッククラウンでも、

天然歯でも、

コンポジットレジン修復治療でも、

対合歯への影響は同じことは、

この症例からも明らかです。

この患者さんの第1大臼歯はセラミッククラウン。

第2小臼歯の修復はダイレクトボンディング修復。

第2大臼歯の修復はコンポジットレジン充填。

にもかかわらず、

金属のクラウンには同じような挙動が。

歯を長期に残すこと、

【考える治療】の大切さを、

重々、認識させられます。

今の1冊

最近は書店に赴く暇もなく、

と言って、

活字中毒症であることから、

書庫に隠り、

眼に付いた書籍を手に取って、

頁をパラパラと捲っては、

元に戻し、

で、

また別の1冊をという繰り返し。

で、

最近また、

この書籍を楽しんでいます。

この方、

私は直接には存じ上げません。

が、

評判通りの頭脳明晰でいらっしゃること、

実感できるとともに、

物事に対するスマートな処理法について、

大いに勉強になる1冊であることには

間違いありません。

季節柄、

心地よいこの頃。

読書に最適の今日この頃ですね。

総合診療医

歯周病治療、修復治療、根管治療、インプラント治療、

入れ歯治療、虫歯治療などなど。

総合診療医として、

毎日を様々な歯科治療に追われています。

歯科医学の中の専門は歯科保存学ですが、

私の歯科治療は、

歯科保存学をベースとした、

総合診療を行っています。

口腔はただ1つ。

噛み合わせも、

骨の保存も、

歯質の保存も、

全てに、

関連性があることに、

40代で気づいたのです。

そこからは、

猛ダッシュで、

歯科全般と全身状態を関連付けて、

総合診療と云う概念で、

人を診てきたのです。

歯一筋で55歳です。

歯の不思議さには

私の知恵は未だに追いついてはいません。

が、

眼には見えないモノも、

見えるようになりました。

母校から、

総合診療科の臨床教授として

向かい入れられたことは、

私の大きな自信と励みになりました。

ご恩に報いるために、

もっと、もっと、

歯の不思議を解明したいと、

患者さんに向き合っています。

何処に行っても、

納得できない!

満足できない!

所謂、

歯科難症例が集まって来る歯科医院が、

私の処なのだそうな。

私は別段に意識はしておりませんが。

ただ、

面白い症例だな!

喜びイッパイと云った処です。

 

新しいスタッフ

普段であれば、

既に床に就いて夢の中であったのに。

今も診療所に居ます。

午後の9時半を過ぎた頃合いです。

歯科衛生士が宮田君から新しいスタッフに代わり、

アレコレと。

何処の歯科医院も歯科衛生士不足なのだそうな。

街の中心部にあるからでしょうか?

お陰さまで、

私の処には、

何故か?

面接を申し出る電話がしばしば来ます。

今は、

お試し雇用と云う制度があることも、

最近になって知った時代遅れな私です。

新しいスタッフに対し、

私は技術や経験を求めません。

ソレは、

私の診療所に勤務する過程で、

必ず取得出来るからです。

私が求める処はただ一つ。

ナイチンゲールの心を持つ人です。

気が利いて、

優しい人でなければ、

医療人には不向きです。

一緒に仕事をしていれば、

そこは判ります。

そんなこんで、

最近の私は、

診療所で忙しくしています。

 

 

たわいもない話し

知人以下、

他人以上の方と

ヒョッコリと眼が会い、

この度転居するんです、

な、そうで。

ほぉー。

ソレは、ソレは。

と言って、

転居祝いを贈る間柄でもないので、

とりあえず、

エール!でも贈っておこうと。

そんな会話を帰宅して直ぐに、

家族皆に話しをしたら、

そう言えば、

大昔、

家人とランチへと出かけ、

と言っても、

財布は私が持っているものと

思い込んでいた家人は、

チャーシュウ大盛りを大いに堪能し、

で、

会計の際に、

私が持ち合わせが無いと知り、

慌てふためき、

幸いなるかな。

私のポケットにあった2千円札に助けられ、

ホッとした直後、

家人が珈琲を飲みたいと。

つい、

私は家人に、

外から匂いでもかいでおけ!

今日の出来事とは全く関係ない過去のことを

持ち出され、

でも、

そうでしょ?

 

 

歯科医師の学問

私は開業歯科医師でもありますから、

歯科治療の対価として、

患者さんから診療報酬を頂いています。

しかし、

私の行う歯科治療の根拠を

より確かなものとするために、

常に研究の場に身を置いています。

学問とは、

専門書を読んだり、

学会に参加する、

講習会を受講する

それを学問するとは言いません。

【歯科医師の学問】とは、

日々の診療から、

常に問題提起し、

考え、

解決の手段を模索することです。

研究のテーマは、

正に患者さんの口腔に溢れています。

だからこそ、

ジックリ視て、

ジックリ考え、

新たな治療が生まれるんです。

 

全てが患者さんのために

4月から生活が一変しました。

新潟市と高松市を行ったり来たり。

新潟市は私の第2の故郷とも云える

私の好きな処です。

が、

新潟駅から日本歯科大学までのタクシーの

車窓からの風景を眺めるだけで、

街や川に触れる暇もありません。

深夜まで大学。

ホテルまでのタクシーにて、

夕食はホテル向かいのコンビニにて調達。

朝食ですか?

吉野家の朝定食ですよ。

何で新潟まで来て、

吉野家なんだ!

早朝には出勤しますので、

その時間帯はホテルの食堂も、

街の喫茶店も営業していないからです。

昼食は摂れません。

誰か彼かとの会合があるからです。

高松へ帰る手順は、

大学での仕事を終えてから、

最終の上越新幹線にて、

とにかく東京まで入ってホテルにて宿泊。

で、

朝一番の羽田発のフライトなら、

翌朝は通常通りに診療に入れます。

新潟行きの手順も同様です。

診療が終わってから夜のフライトで、

とにかく東京まで入っておきます。

で、

一泊して、

朝一番の上越新幹線にて一路新潟へ。

道中やホテルの部屋では、

ゆったりと読書するくらいが、

私の余暇となりました。

今までは、

歯科保存学講座の非常勤講師の仕事だけでしたから、

学部と大学院生の教育と、

研究だけで、

三枝デンタルオフィスでの診療から、

これを調べたい、

これを研究したい、

私の歯科大好き病の、

ワクワク感を満足させてくれる

大変ありがたい処だったんです。

今も歯科保存学は併任ですが、

突然、

今まで全く関連のなかった附属病院の

それも一番の大所帯の総合診療科の臨床教授です。

大学の人事ですから、

お考えのあってのことでしょう。

ただ、

私は、

これだけは徹底したいと思います。

全てが患者さんのために。

ご父兄からお預かりしている学生さんたちが、

確かな基礎的技術を持って、

羽ばたいて行けるようにと。

そのためには、

医療人の心を

シッカリと肌感覚で身につけていなければ。

高松市の三枝デンタルオフィスは、

私のホームグラウンドです。

より進歩し続けるようにと、

それこそ新しいスタッフと、

知恵を出し合い、

全てが患者さんのために。

ホームページの1部リニューアル

市井のシガナイ開業歯科医師であった私が

様々な事情にて、

母校の附属病院の総合診療科の

臨床教授になってしまいました。

単なる歯のオタクでは済まなくなりました。

この重圧は、

業界人なら、

よく判って頂けると思います。

公人となった訳で、

治療を行うにしても、

単なる私の【勘働き】だからでは済まなくなりました。

治療の各ステップ・ステップにおいても、

学問的確かな根拠が必要不可欠となりました。

それが教授と云う職責の重さです。

併せて、

治療費用についても

その概要を報せることも私の立場では

当然のことと言えましょう。

症例の呈示については、

徐々に増やす積もりです。

単に綺麗な症例と云うよりも

長年の風雪に耐えた症例をと考えています。

コンポジットレジンインレーとダイレクトボンディング修復

コンポジットレジンインレーです。

虫歯治療の1方法ですが、

私は全く、この治療を行いません。

何故って?

このような悲惨な状態に早期に至るからです。

虫歯を削ったあとに、

歯型を採って、

模型上で、

歯科技工士さんが、

コンポジットレジンを使って詰め物であるインレーを製作します。

この製作物をセメントで歯にくっつけるんです。

経時的に、

インレーと歯の境目の希薄な部分が、

捲れるように、

折れます。

また、

セメントの変色や溶出が起こり、

詰め物と歯の間に段差が出来て、

新たな虫歯の原因となります。

この症例のように、

インレー本体が、

削られた歯の穴の内部で

折れる場合もあります。

次の写真は、

同部をダイレクトボンディング修復した所見です。

セメントを全く使わず、

ラバーダム防湿環境にて、

無菌的に詰め作業を行います。

歯の形態の彫刻は、

私ら歯科医師が行わなければなりません。

手間はかかりますが、

安全、安心かつ、

歯質保全の見地からも

虫歯治療の最適治療方法だと思います。

歯科医院選びは慎重に

元来、

この歯にはクラウンが被せられていました。

写真で見えるクラウン全ては、

私の治療ではありません。

この患者さんは、

何年か前、

3年くらい前だったでしょうか?

下顎の小臼歯を他医院にて抜歯処置を受けて

インプラント治療を勧められ、

その結果、

私の診療所へ転院されて来られました。

インプラント治療は1本だけでしたので、

特に難しい症例でもなかったのですが、

他の多くの歯には、

写真のようなクラウンが被せられていました。

しかも、

ほぼ全ての歯は神経が取られている死んだ歯です。

患者さんには、

徹底したブラッシングを認識させる努力をしたからでしょうか?

見かけ上の歯周ポケットは、

患者さんの誠実なブラッシングにて、

改善の一路にあります。

が、

メンテナンスの際に、

異臭を感知し、

ついにクラウンの下に隠れ潜んでいた虫歯を

見つけたのです。

クラウンを外すとご覧の通り。

虫歯は完全に取れていません。

徹底して虫歯を取ると、

歯はバラバラになるでしょう。

この歯は、

歯科保存学専攻の私は、

骨の保存を最優先させるために抜歯の診断を下しました。

抜歯後の治療ですが、

このような場合は、

ブリッジではなくインプラント治療が第1選択です。

前後のクラウンを見て下さい。

この両隣歯も死んだ歯です。

根管治療の精度も、

レントゲンを提示していませんが、

ご想像の通りです。

とてもブリッジの土台に使える代物ではありません。

患者さんにはお気の毒に思います。

ただ、

虫歯治療の程度の頃に、

キチンと歯科医院選択をしなかったことにも

大きな落ち度があることは否めません。