包括的医療 その2.


歯科医学と云う学問も、細かく切り刻むと沢山の専門分野に分けられます。

しかし、専門分野を追求していくと、結局、他の分野にまたがって手を出していかないと
解決できないので、行き着く処、歯科医学はひとつと感じるようになりました。

更に発展させて、診察する患者さんの体質や、基礎疾患などをお持ちの際には、
当然の事ながらそれらに対する知識も必要となります。

特に、高齢化時代に突入した現在においては、毎日の診察での高齢者の割合も増加する事でしょう。
現に、私の診療所への患者さんの大半が高齢の方で、皆さんがなんらかの薬なり、他科での治療を受けてらっしゃいます。

私はインプラント治療を中心に診療生活を送っています。
しかし今後は、部分入れ歯や総入れ歯治療が多くなってくると思っています。

寝たきりになった患者さんのインプラントが、長期に、そして快適に長持ちする条件を満たす治療は、
とても制限があります。

無理してインプラント治療をするよりも、部分入れ歯や総入れ歯にしたほうが、
口腔衛生管理がしやすく、かえって噛める場合も少なからずあります。

私は、専門分野のための専門治療よりも、今、患者さんの口腔と取り巻く全身、そして生涯にわたる時間の流れまでも
考慮した、包括的医療の必要性を強く感じます。