私の仕事 その3.


インプラントをしたいのですが‥。

セラミックの歯で綺麗になりたいのですが‥‥。

ピッタリ合う入れ歯を造って下さい!

私の診療所にお越しになる患者さんの主訴は、こんな処でしょうか?

で、直ぐにその治療にかかれる患者さんさんは、殆ど居られません。

と云うのは、皆さん、料理と同じで下準備が必要なお口の状態だからです。

歯周病だったり、根の治療が必要だったり、粘膜が痛んでいたりで‥‥。

先ずは確りとした基礎の治療が出来ていないと、良い結果は生まれません。

治療をするからには長持ちさせたいと思うのは当たり前でしょう?

決して眼には見えなくても、見えない処だからこそ、丁寧にキチンと治療をしたいと思っています。

見映えばかりを繕って、後になってから床が傾いた欠陥住宅のような治療だけは許せません!

愛想を云う事はありませんし、白黒ハッキリと云う性格の私です。

でも、職人であるならば、大切なことは仕事の内容だと思っています。

私の診療所へお越しになられた患者さんとは、長がーくお付き合いしています。

途中で来られなくなった患者さんも、確かにおられます。

が、殆どの方が、10年位経ってから、申し訳なさそうに戻って来られます。

私は、其れで良いと思っています。

他と比べてこそと云う事もあるからです。

また、ひさしぶりに視る自分の仕事の結果を新鮮な気持ちで評価できるからです。

毎日、同じことの繰り返しの中で、確かに自分の仕事の進歩と変化を感じます。

上手になりたい!上手になりたい!と願って歯に向かい合って来ました。

でも、マダマダ満足していません。

だからこそ、丁寧に丁寧に、治療しなければと、力んでしまいます。

永年、使って貰って新品の頃の綺麗さは失われていても、患者さんの口の中で
お役にたっている入れ歯やインプラントに、私はありがたいと感謝しつつ、定期検査をしています。

いつか倅か娘、あるいは他の歯科医が私の仕事を引き継いでくれるでしょう。

その時に、キラリと光るなにかを、歯のなかに自己主張として遺しておきたいものです。