【本当に困った時の歯科医院】を標榜しているので、
仕方ないのです。
歯で困った方が、
すがるような表情で、
お越しになります。
インプラントとクラウンを連結する
アバットメントと云う部品のネジが折れた方が来られました。
ルーペで診ると、
インプラントの奥底に
折れたネジの残骸が。
外れたクラウンとアバットメントはくっついて、
ネジがポキンと折れて、
患者さんは慌てて歯科医院へと。
担当した歯科医師も慌てたんでしょうね。
ネジが折れる前に、
ネジは緩みますから、
クラウンがカタカタする感じが
通常はするもんです。
また、
メンテナンスの際に、
噛み合わせの微調整は必須です。
まぁ、
後に祭りですが。
私ですか?
状況は判りました。
無論、
お取りしますよ。
来週の○曜日の○時と云う事で。
いえいえ、
特種な器具を準備する訳ではありません。
それからの1週間、
私は朝に昼に夜に、
牛乳にプロテイン。
シッカリと朝飯。
昼もシッカリ。
夜はタップリ野菜にステーキ。
で、
睡眠薬を使ってでも、
爆睡状態に。
そうそう、
寝る2時間まえに、
39度の入浴をゆっくりと。
身体と精神を仕上げるんです。
いよいよ、
その日がきました。
こういう場合には
マイクロスコープは使いません。
カール・ツァイスの8倍のルーペで勝負です。
どうやって取るのかって?
探針1本ですよ。
へっ!
探針ですか?
そう。
折れた金属の断面って、
ツルツルではありません。
ザラザラルモンです。
その粗面に、
針を引っ掛けて、
グイグイと、
指先に精神を集中して、
逆回転!
コンクリートの厚い壁を
情熱で突き破るくらいのエネルギーを
手先に集中させるんですよ。
グラッと、
ネジが緩む瞬間が手先の感じます。
あとは、
私の手先がクルクルッと、
勝手に動いてくれるんです。
ポロンと、
ヤッター!
ガッツポーズのあと、
患者さんが両手で、
私の手を握って、
先生ありがとうって。
しかし、
このあとが本当は考え処なんです。
設計を考えなきゃなりません。
頭に閃くまで、
患者さんには、
通っていただきます。