刻む


東京の宿にたどり着いたのは

既に深夜。

ワッカップ大関を一杯。

深い眠りにつきました。

習慣とは恐いものです。

いつもの時刻に目覚め、

いつものように読書。

が、

退屈で仕方がないので、

街へと。

街は未だ眠っているようです。

隅田川から神田川へと折れ、

川に沿って、

小路を選んで、

お茶の水を目指して歩きます。

交差点の赤信号にて足を留め、

見上げれば、

神田明神下。

あぁ、此処が銭形平次親分の居た処かと。

舟木一夫の歌うテーマソングを

人っ子一人居ない街。

私の音痴も聞かれまいと。

声高々に歌いながら、

通りを進みます。

神田明神さま。

鳥居の外から一礼し、

内藤正裕先生を先についてお待ちしようと、

足はますます速く進みます。

江戸期の絵地図が頭にしっかりと記憶されています。

ここは、

彼の大名の屋敷の跡であったとか、

東京は文明の都会ですが、

通りの名には、

しっかりと文化の匂いを残しています。

時代は移ろいでも、

通りの樹木や石畳は、

全てを刻んでいるに違いありません。