私の限界


診察の合間などに、

現在治療の進行中の患者さんのカルテを開いて、

レントゲンや資料、口腔内写真を前に、

アレコレ思案するのが好きです。

これは私にとっては、

将棋板を前に、

腕を組んで、

駒の進め方を思案するのと似ています。

一人として同じ治療を行うことはありません。

患者さんの個性や体質、骨格から唾液の分泌状況などなど、

皆さん其々ですから。

それに、

患者さん自身の求めておられる治療のゴールも違いますもの。

ですから、

実際の治療での【細工】に懸かっている際には

逆に、

頭の中は真っ白なものです。

手先が勝手に動くと云う表現がピッタリなんじゃないかと。

無心の境地で手当てに専念しているものです。

ですから、

いざ治療に取りかかる瞬前まで、

悩みに悩みます。

それと、

手当てが終わってから次の治療までの期間は、

先の為した治療が上手く奏効するのかと、

治り方をジッと、

観察することがとても大切な作業だとも

これは経験上、

手を抜けません。

これが私の歯科治療の進め方です。

ですから、

歯の治療を、

チョコッと、ササッと、

済ませて下さいと云うリクエストであれば、

石を投げれば歯科医院に当たるって云うくらいの昨今です。

私の力は及びません。

本当に困ったと云う患者さんだけで、

私は精一杯です。