私は歯科医師免許取得後すぐに、
母校の大学院へと入学しました。
専攻は【歯科保存学】です。
歯はもとより、
神経、骨、歯茎、
口腔にまつわる、ありとあらゆる組織を保存する事を
研究する歯科のなかの1専門分野です。
私の総入れ歯は、
歯槽骨の保存を主目的に造っています。
ですから長持ちし、
よく噛めるのだと思います。
私の部分入れ歯は、
残った歯がもっと長持ちするようにと云う配慮で造っています。
ですから、患者さんは快適なのだと思います。
私のインプラント治療は、
骨の保存に徹底します。
ですから、長持ちするのだと思います。
私の虫歯治療も、同じです。
できるだけ歯質の保存を第1として行っています。
殺さず、神経をとらない治療に徹底しています。
根管治療は残念な治療です。
他の誰かの手にかかった傷んだ歯の再治療は、
それこそふんどしの緒を締め直して、
気合いをいれて行っています。
よく観る根管治療の説明を表した図です。
リーマー、ファイルといった細い針金を捻った器具を
根管の中に挿入します。
この際に、
器具の先端と根管の尖端が完全に一致しなければなりません。
非常に難しいテクニックを要します。
レントゲン、電気的抵抗値、手先の感覚を駆使して行う
繊細な治療です。
マイクロスコープでの治療も普及しつつあります。
しかし、
マイクロスコープで確認できるのは根管の入り口迄です。
丹念にマイクロスコープで観察することで、
神経の入り口を見逃さない、
これが根管治療におけるマイクロスコープの現状です。
この写真をよーく観て下さい。
暗黒空のなかの一点の星ではありません。
小さな小さな白く光った一点は、
【根尖孔】です。
根の尖端の小さな小さな孔です。
この孔の完全なる封鎖が、
根管治療の最終目的です。
手探りであった根管治療でしたが、
今では自分の眼で視て、
自分の手で手当てできるようになりました。
マイクロスコープを使って20年近くになります。
やっと、
お星さまにジャンプして、
手がとどくようになりました。