やさしい心


スタッフの宮田君の耳には【タコ】ができている事でしょう。

私の診療所で勤務してからと云うものの、

【ナイチンゲールの心でなっ!】

と云う台詞を幾度も幾度も聞かされているからです。

私ごとで恐縮ですが、

決して順風満帆な人生ではありませんでした。

挫折の繰り返しだったと思います。

その時は情けない想いに苛まれました。

でも、

挫折を経験することで、

自分を生かす唯一の道を見つけたような気がします。

【謙虚さは辱しめを受けずには得られない】

と云う言葉を思い出すのです。

挫折とは、

もしかしたらチャンスかもしれません。

ニューヨークのセントラルパーク.イーストに在るホテルです。

当地での常宿は、このホテル近くのエセックスハウスが好みで、

ダイナーへ通う際には、

いつもこのホテルの前を通ります。

私の身分では、このホテルに宿泊するのは

身分不相応だと思っていますから、

あくまでも、

外から眺めるだけでしかありません。

ピエールと云う名のホテルです。

白髪の初老の紳士となれた際には、

是非とも常連になりたいものです。

この写真1枚からでも、

【ホスピタリティ】の真髄が顕れています。

心暖まる光景でしょう?

サービスはマニュアル化されたモノに心はありません。

愛しい云う気持ち、

ありがとうと云う感謝、

お役にたちたいと云う想い、

そこに医療人の職責が伴って、

【ナイチンゲールの心】が生まれてくるのだよと、

宮田君には口酸っぱく繰り返しています。

私の診療室へのドアの前の空間です。

この大きなドアの向こう側に三枝ワールドが在ります。

飾った絵画は、

ニースの海岸から地中海を臨んだ光景です。

穏やかな波の音が聴こえるなか、

静かに私の仕事は進んでゆくのです。