白髪


仕事帰りに床屋へ行きました。

20代後半から通っている床屋です。

店の親父は私の職業を知りません。

ただ、

長い間の常連であると云うことだけ。

ハサミを手に

雑談を投げかけてくるようになって

20年くらいになったろうと思います。

たワイもない話しですが。

が、

私にとっては気楽な時間です。

身構えなくても良い極マレな場所でもあります。

こういう処は、

年々、少なくなりました。

親父は私を呼ぶ際に、

兄さん、兄さんと。

そんな歳ではないのに、

少しの照れを感じながら、

会話に応じています。

でも、

職業を聞かないのは、

この親父なりに長年、身につけられた処世かもしれません。

白髪が増えたと、

毎月、毎月、

言われるのも慣れっ子になったようです。