あの日を生涯忘れない


人は一生の内に、

消えない記憶を強烈に刻まれる経験する

機会が数回在ると言われています。

私の受けた6年前の記憶は、

同じように生涯消えることはありません。

あの日の、

1秒1秒の自分の表情、所作、想い、

自分のすべてが、

遊離した魂が自らの身体を

客観的に眺めるように、

手に取るように鮮明に覚えているのです。

で、

結局の処は、

頬に涙が伝わるのみです。

恐らく私は精神的付加を大きく受け

未だに傷は一向に癒えてはいないと感じています。

波が怖い。

時たまテレビの画面に流れる地震を報せるテロップに、

小刻みに身体が震えています。

私の息子は幸運にも、

生き抜くことが出来ました。

大勢の犠牲になられた方々に、

申し訳ないと云う想いと、

怒りと哀しさをぶつける場を知りません。

息子には、

大切に此れからの人生を歩んで欲しいと、

生きたいと叫んでも、

力尽きた方々も多いのですから、

せめて真面目に、その方々の分まで、

生きている感謝を重く感じながら、

時々、

立ち止まる心で居て欲しいと思います。

私も、あの日に産まれ代わりました。

歯の治療にだけ、

人生を捧げる決意をした日です。

被災者の方々のお心を想うと、

言葉になりません。

亡くなられた多くの御霊の御冥福を

私は、

あの日から毎日、仏前で掌をあわせて祈りを捧げています。