私の履歴書 9.


忙しさにかまけて忘れていました。

そうです。

今日は【赤穂浪士討ち入りの日】です。

幼い頃から私は、

この物語に胸が熱くなり、

胸からこみ上げる感動を、

買い求めた陣太鼓を叩きながら画面に観いっていたものです。

泣かせ処では大いに涙し、

焦る場面では大いに焦る。

なんとも脚本家にとっては素直極まりない

視聴者の優等生が私であります。

今日のこの日、

その刻限近くになると、

私の想像力は逞しく働くのです。

さて、今頃は雪の中を総出で吉良邸へと向かっている頃合いであろう?

門前だろうか?

慌てるな!

吉良は見つかるからご安心を!

もう何百年も昔の出来事ですから、

何から何まで終わってしまっているのですが。

それでも、

我が家のお仏壇に香を焚いて、

私はこの日を過ごすこと、半世紀になりましょうか?

こういう処で、

私は変わり者と言われる所以かもしれません。

当時の大石内蔵助邸は移築され小豆島の本覚寺に、

その面影を観ることができます。

堀部安兵衛は越後の新発田の人。

安兵衛を偲ぶ行事が、

今日、当地にて執り行われていると思います。

こんな話しを、

私は息子、娘たちに、

話し聞かせて育てました。

が、

毎度、毎度のこと過ぎたのか?

耳にタコ、

タコも数を成して数珠となったと

言われる始末です。

それでも、

泉岳寺境内の義士たちの墓前から

大勢の方々の熱い想いからの香の煙が絶えることがないのは、

まだこの国にも、

昔の日本人が確実に居るんだと、

私は少しばかり安堵するのです。