女と云う生き物


小学4年の娘が誕生日だったモンですから。

10歳になったんだそうです。

で、

あぁ!これで二桁にまで育ったんだと感慨ひとしおとなり、

何か記念の品でも買ってヤろうと街を歩いていたのです。

ある店の大きなウインドーの前に立ちたる娘は、

はばかる事もなく店の中へと消えて行きました。

娘の後を追いかける私。

ソコは大人の女性向けの鞄屋さんだったのです。

アチコチを歩き回る娘の足が一点にて停まりました。

籠と革とのコンビのハンドバッグを腕にかけて、

大きな鏡の前でポーズを採る娘。

「 んまぁ~!とってもお似合いですこと!」

店の女性店員の大袈裟さな誉め言葉に、

娘は顔がクシャクシャになっています。

大人の女性扱いされた初めての経験だったのです。

「 パパ!お似合いです事って言われた!」

店員の殺し文句が決まった瞬間でした。

私ですか?

財布から支払いの紙幣を出さねばならないでしょう?

店から出でた娘のショートボブの後ろ姿が、

ナニやら大人びて見えたのは、

私の気のせいでしょうか?