探検


久しぶりの京都でした。

少し遠回りして琵琶湖を望みながら

桜散る、滋賀越え道を下り、

知恩院前を通り過ぎて八坂神社近くに

車を停めました。

時刻もまだ、観光客の姿も見かけないほどに、

通りは眠りから覚めてはいない様子。

足が未だ不自由ですから、

ブラブラする訳にもいかず。

車中で煙草に火をつけて、

街を眺めていました。

が、

紅柄格子の小路に吸い込まれるように

車のドアを閉めて、

懐かしい匂いの中へと入って行きました。

こういう時間も大切なのだなと、

仕事ばかりの日々を恨めしく感じつつ、

思いあたる店へと、

足を引き摺りながら、

奥へと進んで行ったのです。

幼い頃から、

相変わらず変わっていない探検心が、

まだ自分には残っていたのだと。

その時、

向こう側の引戸が開き、

懐かしい顔が、

不思議そうに私と眼が合い、

で、

直ぐに声をかけられたのです。

時間の経過とは刹那なモノだと、

この時ほど感じた事はありません。

と云うことは、

これからの時間の少なさを

ひしひしと噛みしめて過ごすように

心がけましょうと。