プロの【気】


今週も相変わらず毎日、手術が続いています。

患者さんにとっては、心細く大変な想いでしょうから、

私ら医師が、最大の鎮静剤であることが肝要です。

以前、息子に連れられて矢沢永吉氏のコンサートへと出かけました。

大変、氏に対しては申し訳ないのですが、

私の世代だと中学生の時分に、

氏の属するキャロルがオンタイムであったと記憶しています。

で、

勉強嫌いの輩が、

薄い学生鞄に、氏の名のステッカーを

申し合わせたように貼っていたのを記憶しています。

私にとっては、氏は【不良の教祖】というイメージが焼きついていました。

まさか自分の息子が、この様な嗜好になるとは!

と、残念な情けない想いで、

氏のコンサートへと出かけたのです。

が、暫くもしないうちに

私は自分の誤りに気づいたのです。

氏は【エンターテイナーの中のエンターテイナー】でした。

全ての所作を、氏は計算し尽くしていました。

視線、顎の傾き、

勿論、身体の全ての器官の動きを。

相当にリハーサルで、試行錯誤していると。

帰りがけに、私は息子に謝ったのを覚えています。

プロの中のプロの姿に敬意を払いました。

私らの仕事も同じです。

大変な身体を委せて下さる患者さんが、

私らを絶対的に安心して下さるような

【気】を、

私らは常に出し続けなければなりません。

そのための工夫を、

日々、自分で見つける注意を持った生活をと

今更ながら、

再認識し、朝の一時を迎えています。