良い経験


今ほどの医療技術の発達をみない江戸時代の事であれば、

私は確実に命を落としていたでしょう。

インフルエンザに罹患し、

五臓六腑は今にも腹膜を突き破るほどの激痛で、

身体中の関節は押し潰されそうな傷み、

全身の皮膚は針で刺す程の鋭利な傷みが、

頭はグルグルと回り続け、

食欲も無いので、

嘔吐するモノもなく僅かな水分が口から出るのみ、

下痢も水分のみと云う始末。

腹の皮と背中はクッツイタほどにまで。

寝てても痛い!

座るのも苦痛。

診察に行って4日はもがきました。

但し、床に臥せっている間、多くの事を考えました。

今までの自分の生き様なり。

これから将来のことなど。

働き盛りの私が、今現状においてこの始末であれば、

歳をとって稼ぎがなくなれば、

いったいどうなるのだろうと!

物事の真実がよく見えました。

色々な人間が居る事もよく判りました。

気が利くとか、気が利かないと云う単純な種分けだけでは解決できない

人間本来の優しさに欠けた人間も居るのだと。

何事も自分軸中心で、

常に自己弁護の終止し、

反省なり後悔などからは一切縁の無い

その時々の快楽のみに幸せを求める人の存在も

十分認識出来ました。

こういう人から今まで随分と私は非難されてきた経験が在ります。

ある時まで、私の方が変なのかと思い込んだ時もありました。

床から動けず、ズット天井を眺めて過ごした数日間で、

これは私の間違いであったと気づいたのです。

私は短気ですから、

怒ったり、モノを床にぶつけて八つ当たりしたり、

ドアを蹴飛ばしたり、

其れこそ家人をぶん殴った事もあります。

今だとDVと言って大変な事になるんでしょうが。

但し、最近では喧嘩の前に、冷めてしまいました。

誰に対してもです。

言っても解らない人に何を望んでも馬鹿げていると。

関わらないでと云う知恵がついたのでしょう。

が、駄目なモノは、どうしても駄目なので、

そういう場合は、サッサと引き揚げると云う知恵が

今回の床に就いた数日間で得た境地です。