どの仕事に於いても


患者さんの身体を預かると云うことは、

其れは其れは、痛切な責任の重圧で押し潰されそうになるんです。

患者さんに対しては、ドッシリと、安定感ある対応を見せていますが、

実際は、患者さんには決して悟られないように、

広野で獲物を狙う野生動物の持つハンターの眼で、

病気の原因を見逃さないようにと、

全身の毛を逆撫でて、

緊急してるんです。

正に超覚醒状態にあると云って良いでしょう。

クタクタになって帰宅し、

で、朝が訪れて再び戦場である診療所へと。

臨床生活が長くなればなるほど、

怖さを知るようになります。

一見、歯科医と云う仕事は楽なように見えるかもしれません。

好きでないと、やってられないですよ。

但し、どの仕事であっても、

その世界にドップリと浸かりこむと、

そういうもんかもしれません。