若い時分に、今では鬼籍に入られた当時の著名な歯科医の先生方の診療所へと、
随分と足を運んだモノです。
日本の近代歯科医学の礎を築かれた巨星たちは、皆が強烈な個性をお持ちでした。
その中の内で、東京の京橋にて診療所を構えて居られた某先生の部屋に掛けられた額のなかに、
【義歯快適患者再来】と。
入れ歯の大家であった先生は、当時でも既に老域に入られて居られる頃でしたが、
緊張する私を外へ連れ出して茶店の木戸を開き、
汁粉を8杯喰えば、教えてやろうと。
何故に8杯なのか?と想いながらも、私は甘党であるので苦にならず、
サッサと平らげる私に、
ー 若いってことは良いもんだ! ー
と、それから随分と可愛がって貰ったのが懐かしい思い出となりました。
良い仕事をすると、患者さんが患者さんを呼んでくれるので、患者さんに困ることは無いという趣旨の言葉であるそうな。
この言葉をしみじみと実感するのです。
但し、この様な場合の大半が、他では満足出来なかった患者さんであることにも気づきました。
今日も又、新しい患者さんがお越しになられます。
大掛かりな難しい症例であることが、お電話口からの状況にも容易に創造出来るのです。
この土日にはソウルへと。
で、翌月曜にも新しい患者さんがお越しになられるとのこと。
歯科医が増えすぎて何処も患者さんが減って困っているとの風評ですが、
この先生の言葉の正しさを認識する今日この頃です。