歯科医師会の会長が逮捕されるとの報道に、驚かれておられる方も多いかもしれません。
私は昨年、自分の診療スタイルが一般的な歯科医とは違うことから、歯科医師会を退会しました。
歯科医師会に入会していると、当然のことながら会員としての義務も生じます。
例えば、1年に何回かの検診や休日診療センターでの当番であったり、
虫歯予防デーに、何らかの役割を与えられたり。
私の診療所へお越しになられる患者さん全ては(大半ではありません)、
インプラントやセラミック治療、マイクロ治療を希望される方ばかりですので、
この20年程は、健康保険の治療から遠ざかっていました。
ですから、保険点数がどうのこうのと言う話しからは、縁遠い処で、診療して過ごして来ました。
また、大学での活動や、研修会、
加えて自分の診療レベルの向上のために、海外へ出向く機会も多く、
とてもとてもじゃあありませんが、割り当てられた担当をお引き受けすることも出来ず、
何時も何時も、頭を下げて、誰か他の先生に交代して頂くばかり。
そんなこんなで、歯科医師会を退会したのです。
しかし、私が仮に保険医の代表たる立場であったならば、
恐らく同じ事をしたに違いありません。
歯科医師会と言う集団は、開業歯科医の集まりです。
開業歯科医のほぼ全部が、保険医であると言って良いでしょう。
私みたいな診療スタイルで食べて行ける歯科医は、私の知っている範囲程に少数派です。
ですから、歯科医師会の上層部の責務として、会員みんなの利益を第一と考えるのは当然のことでしょう。
ただ、昔と違って倫理なりルールも変わっています。
また、昔程に強大な政治力を持った政治家も、今では懐かしいと言った感であるのは、
私だけではないと思います。
世論を味方につけることこそが、変化への大きな力となる時代です。
私たち歯科医師は、健康保険の治療を行う、行わないとか、
歯科医師会の会員、非会員とかの区別なく
患者さんの方にだけ、眼を向けることが大切ではないでしょうか。
皆さんから集めた大切な健康保険料です。
貧しい方、困っておられる方、大勢に居られます。
人生の流れで、定めで、私はインプラントやセラミックスの治療に携わっていますが、
これは振り返れば、正しい行いか、過った生き方かは、この私にも判りません。
が、歯科医師と言う大きな集団で、物事を考えると、
やはり歯科医の信頼を勝ち取るには、
政治家への献金よりも、仮に資金的余裕が在るのならば、
テレビのCMやドラマなどを使って、
一般の方々へ、歯科医と言う仕事や、歯の大切さを認識して頂くことに使った方が、
案外、良い結果を生んだかもしれません。