鬼の目にも・涙


もうすぐ・88歳を迎える・母に、

お菓子を・イッパイ・買ってきて・手渡すと、

どうしたんでしょう。

好物に・目のくれず、

いきなり、

鞄の中を・ゴソゴソし・探し物。

で、

小さな・ポシェットを・取り出したのです。

母が・おそらく60代の頃、

ヨーロッパあたりの・小物店で・買ったのだと。

綺麗な・刺繍が・施されて・いました。

よほど・思い出のある・品だと。

そこから、

取り出して、

何枚かの・神社のお守りを。

身体を・大事に。

あんなに・小ちゃかった子が、

こんなに・大きくなって。

顔は・シッカリしてるわ。

目力も・あるね。

男は・仕事・しなきゃ。

でも、

身体を・壊さない様に・神様に護って・欲しいから、

持ってて・ちょうだい。

私が・カトリックに改宗したことなど、

既に・記憶には・ありませんし、

説明しても・理解できないでしょう。

おう・ありがとな。

と・言いつつも、

イケマセンね。

眼鏡の下、

涙が・止まりません・でした。

歯科界では・強面の・私。

そんな・私が、

嗚咽を・堪えるのが・精一杯だったのです。