毎月、新潟へと通う生活も早いもので、6年目を迎えます。
皆が一様に、遠方故にさぞかし大変でしょうと労って下さいますが、
当の本人は嬉々としていると云うのが本当の処です。
高松市での生活は、まさに歯の仕事一色です。
朝起きてから夜に床に入るまで、診療とそれ以外の時間は、疲れた眼を温めたり、腕に湿布を貼ったり等の身体の手当てなどや、
文献を読んだりで、歯の仕事のためだけに生きていると、ふと、その様な生活を、これで良いのか?と考えさせられる時もありました。
新潟では、ゆっくりと萬代橋界隈を信濃川を視界にやすらぎ堤から、朝の開店準備に忙しい本町市場から人情横丁を抜けて、
途中で白龍大権現の祠に立ち寄って、小路にマリリンを繋いでナッツでいつものモーニング。
大きく尻尾をフリフリのマリリンと再び、柾谷小路から自宅へと時間をかけての散歩の後は、ゆっくりと着替えて大学へ。
夕刻には帰宅し、駅裏の丸善へとマリリンを伴って、ゆっくりと本探し。
新潟での私は、日頃の乾いた心や疲れた身体の手当てに充てていると言っても過言ではありません。
街は広大な日本海と向かい合うように形創られ、大陸からの風を受け、街のど真ん中をゆったりと大信濃が流れる新潟市は、
まさに水の都と云えましょう。
湿った大気に包まれて、穏やかな陽射しと心地よい風の中に暮らす人々もまた、性格も穏やかで人情味溢れるのは当然の結果かもしれません。
これから厳しい冬が訪れますが、雪風に頭を垂れて道歩く苛酷さが、人として現代人が既に失った大切なものを、
この地に暮らす人だけに遺せた要因かもしれません。
普通であれば、くたびれ気味になる私の歳ですが、未だに歯への強い情熱を維持し得るのは、
新潟での暮らしがあるからだと思っています。