1口腔単位の歯科治療を行う際には、
さまざまな配慮が必要です。
治療を行う際に生じる【誤差】を
各治療ステップ毎に、
【再評価】しなければなりません。
一つ一つの治療が上手くいっても、
噛み合わせの【誤差】ほど恐いモノはありません。
治療が進みますと、
それなりに歯茎も健康となり、
歯並びも、
また綺麗に改善されますので、
つい、
噛み合わせの精度を
見落とし気味になるような症例を
多く見受けます。
この患者さんの口腔の歯は
全て仮の歯です。
初診の頃と比較すれば、
断然と良くなりました。
が、
ここで私は一呼吸置くことにしています。
最終的に製作するセラミッククラウンの治療の前の
最後の詰めとでも言いましょうか。
上下の歯の嵌合を解除し、
下顎の動きをフリーな状態に持ってゆきます。
下顎は頭の骨にぶら下がっています。
ブランコのようなモノです。
下顎は多くの咀嚼筋肉で、
頭蓋からぶら下がっています。
歯の形、歯列の傾き、筋肉の緊張度、
さまざまな要因が、
左右の咀嚼筋肉の平衡を乱すのです。
そこで、
マウスピースです。
マウスピースには、
さまざまな種類があります。
選択を誤れば、
マウスピースは全く意味がない処か、
顎関節に悪影響を及ぼします。
技工士にデザインを指示して製作して頂きますが、
最後の最後の詰めは、
歯科医師自身で調整しなければ
絶対にイケマセン!
で、
仕上がったマウスピースがコレ☝️
私の経験上、
約2週間程度で、
下顎は、
筋肉のリラックスを獲得した楽な位置へと
向かい、
安定した顎位が見つかる筈です。
仕事で疲れた企業戦士や、
遊び疲れた子どもたちが、
安心して暮らせる我が家へと帰ってゆくのと、
全く同じなんですよ。
多くの修復治療の再治療を担当してきた私です。
一見には綺麗な修復治療に見えても、
噛めない!
なんだか変だ!
壊れる!割れる!
そのような症例って、
顎位置がノー・ホーム。
帰る家が無い。
定まった安定した位置で、
治療が行われていないのです。
最後の詰めが肝心なのですよ。