診療が終わり、今から散髪に出掛ける積もりです。
マリリンには気の毒ですが、院長室で独り留守番をして貰う積もりです。
人間の出来ていない私は、数あるなかでマリリンだけを何時も側から離しません。
他の犬たちは家で留守番をさせているのですが、
マリリンだけは私の院長室へと毎日、一緒に出勤します。
先代のラブラドール.レトリバーのラブリーが亡くなった際に私は、自分を失う程に泣きました。
今は社会人となった上の娘のために買い求めた犬でした。
私も仕事の登り坂の時期でもあり、十分な愛情をかけてやれなかった後悔と罪の意識に苛まれました。
処分前の痩せ細ったゴールデン.リトリバーが段ボール箱の中から私を見つめていました。
毛並みの悪い、どちらかと云えばゴールデンらしくないラブラドールのような風体の犬でした。
末の娘と私が、この子犬の箱を抱え込んだことは言うまでもありません。
今でもマリリンの表情を通してラブリーの顔を思い出すのです。
そのな想いもあって私は、マリリンと離れることはありません。
院長室のデスクの脇で、私が入室するや否や、私のお腹に顔を埋めて見上げています。
行き来の車内も一緒です。
寝るのも一緒です。
若い先生方が、横道に逸れるのを目にする度に、
ー ネエチャンよりも犬になさい! ー
誠の心からのアドバイスです。