数日前、
来年の春のお彼岸に向けて、
今年亡くなった父の墓標の最終打ち合わせを・終えました。
春の陽光を浴び、
代々の墓標の中に並ぶ父の墓標が・眼に浮かびます。
やっと、
穏やかな風のなか、
父は過ごせるでしょう。
先祖代々の墓と御仏壇を、
長男ですから、
私は守ってきました。
そういう意味で父は長男としての自覚が無かったようでした。
父との【縁】薄かった私です。
ソレに拍車をかけたのが、
先祖代々から引き継いだ暖簾・を下ろし、
家財道具から・何から何まで、
東北地方に暮らす娘夫婦のもとへ持ち運び、
ソレは全く・構いませんが、
がらんどうの空き家になった屋敷のなかに、
私の眼に入ってのは、
なんと!御仏壇だったのです。
この際には、
私の怒りは・絶頂に至ったのです。
私は典型的日本男子です。
長男が先祖を供養する。
そして、
父が死んだら、
その長男が、
その仕事を引き継ぐ。
ソレが日本男子の義務だと・考えています。
その日を境に、
墓の守に加えて、
先祖の御仏壇は私のもとへ・帰ってきたのです。
数年経て、
今年、父の死をメールという手段で知らされました。
無論、
葬儀の場所、日時などは記載されていません。
ですから、
父の遺骨が・何処で・どうなっているのか、
戒名さえも・知りません。
ただ、
遺産放棄を求める書面が、
弁護士事務所から送られてきた・だけです。
遺産放棄するのにも、
お金がかかるンですよ。
私も弁護士に書類を作成して頂き、
東北地方の地方裁判所に遺産放棄の書面を送らねばなりませんから。
弁護士費用がかかる訳です。
私は歯科医学を学ぶ者です。
一生懸命・医療に携わってき、
その結果、
信仰を持つように・なりました。
全て・されるが・ままに。
そういう自分になった・ようです。
私の患者さんには大勢、宗教家がいらっしゃいます。
みなさんが、
私のファンで居て下さっています。
で、
相談したのです。
先生は・どう・したい?
私は父を墓と仏壇に入れて供養したいと・伝えたのです。
それならば、
そう・すれば良いですよ。
その方が1番・良いですよ。
戒名は?
先生が付ければ良いじゃないですか。
知らない僧侶がつけた戒名よりも、
私も僧侶ですが、
その方が良いと・思います。
遺骨も・ないンですよ。
戦死者は白い空の箱で帰ってきたのですよ。
お祀りし・供養する事が・大切なのでは?
これで、
私の腹は決まった・のです。
父の位牌は御仏壇のなかに、
先祖のお位牌と並んで、
毎朝の、
私の下手なお経を聞かされています。
来年の春には、
自分の墓標が完成することを、
仏様となった父は・知って居ると思います。
ただ、
私が父縁の品を埋葬しようとしても、
何も・ありません。