それでも・私の仕事


なにが・あっても、

何ごとも・なくても、

繰り返し・繰り返し、

朝を迎えます。

その日・その日を【丁寧】に過ごすことを

覚えてから、

身体全体を包み込む大気の匂い・味・移動を

肌感覚で、

感じるように・なりました。

元来、人の持つ【野生】の感覚が・目覚めたのだと・思います。

昨日の新患の方の診察の最中、

眼に診える現象、

指先の腹の皮膚から伝わる様相、

鼻腔粘膜に接触する化学的な質感、

鼓膜を微動させる音、

に、

本来の・この方の求めであった、

下顎第2大臼歯部分のインプラント治療など・

【もっての外】だと、

察知したことは・当然の成り行き・だったのです。

顎間関係3級のオープン・バイト。

左右の顎関節円板にガタつきが認められ、

恐らくは陳旧性のクローズドロックであろうと。

歯のアライメントは・隣接との接触のない離開症例。

臼歯の咬合面は、当然の軌跡にて大きく磨耗し、

既に咬頭は消失。

チェアに寝そべって頂くこと5分も掛からず、

その程度のことは・診断がつくモノです。

問題は、

既に【お人好し】なる歯科医師の治療痕跡を、

冷徹なるレントゲン写真が、

真っ裸にする【像】そのもの。

早朝、

イソイソと暗室に入り、

フィルムを現像し、

またっ!

悩みの種は、

当分の間、

私を苦しませるでしょう。