決して信じてくれないでしょうが。
診療所の患者さんのトイレの掃除は、
院長たる私がします。
お一人、トイレをお使いになったと気づいたら、
あるいは、
診察の合間でチョッと一服の前に、
患者さんのトイレに入ります。
手洗いの跳ねた水の乾いた痕跡を拭き、
便器も素手で雑巾で磨きます。
何故って。
患者さんに気持ち良く、
診療所で過ごして欲しいからです。
スタッフで、
真似してくれた人は、
今回新しく加わった人だけでした。
技術と云うものは、
私の診療所に居れば、
必ず身につけることが出来ます。
が、
患者さんへの労り、感謝の気持ちは、
教えて教わる類いのモノではありません。
その人の持つ生まれ持った感情なり、
成長する過程での、
育った環境の賜物です。
これも一種の才能だと思います。
私は自分の流儀を、
他人に強制しません。
逆に、
依頼される機会は多いのです。
大概の場合は、
よっしゃ!よっしゃ!
と、受け入れてしまいます。
ですから、
診療所に居るだけの私の処には、
大勢の方がお越しになられますし、
多くの情報も、
座ったままで入ってきます。
家族は、
そんな私を、
脇が甘いとか、
なんでもかんでも抱え込むと、
お人好し程度に呆れているようです。
でも、
私の方では判ってるんですよ。
運のある人と、
そうでない人の違いが。
また、
義理人情の厚い人と、
自分のことだけの人。
そのハンドリングは、
私は自信があるんです。
自分だけが大事な人は、
私だけに依頼するだけでは不安ですから、
アチコチに保険をかけるのが常のようです。
その過程で、
自分の都合の良い方を、
後先考えズに、
相手を代えてゆきますから、
自然と私との縁は消える訳です。
ですから、
私の周囲は、
絶対安心のある人だけに。
患者さんの診察も同じです。
全てがご自身の思うままに。
これでは病気は治りません。
私の患者さんの口腔がとても良好な状態を保っているのは、
患者さんの協力の賜物です。
人と人との関わりと、
治療は同じようなモノだと思います。