患者さんとの信頼関係


手術時間は麻酔注射も含んで

1時間程度の、

簡単な症例だったのですが。

この写真をご覧下さい。

一見、

健康そうな歯茎に見えるでしょ?

でもね、

金属の歯の前側のセラミッククラウンの根は

上から根の先の方に向かって

1本の長い亀裂があるんですよ。

この方向の亀裂線はレントゲンには映りません。

何故?判る?

歯の症状と、

歯肉の表情、

そして、

丁寧に、

丁寧に、

歯肉を触るんです。

このような根の折れ方を示す場合には、

折れている部分には

既に骨は溶けているんです。

患者さんですか?

よほどの信頼関係がないと、

簡単には信用してくれませんよね。

それでCTを撮影して、

患者さんに四苦八苦しながら、

歯科医師の先生方は患者さんに説明するんでしょうね。

それでも、

患者さんの方では、

歯科医師の言っていることは本当なのか?

と疑い、

別の歯科医院へと。

そういう場合って多いと思います。

この患者さんの歯肉を診て、

歯の根が折れていることが診える歯科医師は、

相当な実力があると言って良いでしょう。

CT撮影については、

私は、この程度の症例であれば、

患者さんの被爆を考慮して行いません。

触診で、

骨の形は判断可能ですから。

この歯の折れ方から、

保存は不能です。

もう少し前に、

診察させて頂いておれば、

残せたのですが。

時既に遅し。

治療環境を綺麗に清潔に。

これはスタッフの仕事です。

抜歯などの前にも、

こうした手当てをするかしないかで、

ジワジワ変わって効いてくるんですよ。

で、

抜歯。

それでは粘膜を開いてみましょう。

骨が大きく垂直に溶けているでしょう?

インプラントを埋入します。

被服する骨がありませんから、

メジ溝が大きく見えています。

この露出した部分は、

患者さんのお口の中の骨を頂きましょう。

奥歯がありませんので、

その部分の歯肉を観音開きにして、

中の骨をくり貫きます。

簡単に骨を手にいれることができますし、

傷口も完全に閉鎖できるので、

患者さんは後が楽なんですよ。

で、

骨を移植して、

インプラントを綺麗に骨で覆います。

ねっ?

インプラントは完全に骨で覆われました。

ヒーリングアバットメントを装着して、

縫合して終了です。

歯と歯の間に、

1本のインプラントを入れる際には、

ドリルの位置はピンポイントの一ヶ所だけです。

この症例も、

この症例も。

他所から転院して来られた患者さんの口腔内です。

この歯科医師の方々。

眼は見えるのでしょうか?

手先が震えてるんではないですか?

それにしても、

この患者さんの手術は楽そのものでした。

患者さんとの信頼関係ができていると感じましたので。