幸せな歯医者


判断ミス。

私にも在ります。

ある患者さんの上の奥歯に、

インプラントを1本入れて、

メーカー付属の既製品のアバットメントを使って、

ジルコニアのクラウンを装着したのです。

その材料選択を私は誤りました。

気にくわなかったのです。

歯列全体との力学的調和を図れていないと判断したのです。

私の仕事は、

長く患者さんに快適環境を造ることです。

気にくわない結果を前にした際には、

私は潔く認める主義です。

患者さんには申し訳ないのですが、

私が気にいる結果が得られるまでお付き合い頂きます。

今日、

ジルコニアのクラウンを除去して、

造り直したメタルボンドクラウンに交換させて頂きました。

無論、

アバットメントもやり変えました。

これはプロの意地です。

この際には当然、

患者さんにはご費用を求めません。

私の判断が至らなかったからです。

治療を終えてホッと一息の最中、

患者さんから頂き物を。

胸が熱くなりました。

珍しいお酒を高価なグラスでと云うご配慮に

本当にありがとうございますと。

このグラスは私には分不相応なので、

診療台の横に飾っておこうと思います。

お酒は、

先ずは観音さまにお供えしてから、

何かの目出度い日に頂こうと。

患者さんから勉強させて頂き、

で、

お品も頂き、

私は幸せな歯医者です。