医師としての【基本のき】


初診なり治療過程での患者さんからの問診から、

患者さんの全身状態には特に気をつけています。

なかでも、

医科から処方されている薬剤に対しては、

私は非常に敏感に反応します。

勿論、

患者さんは其のような私の心内は気づいて居られませんし、

努めて私も自然に繕っています。

で、

直ぐに其の薬剤を入手するのです。

何故?

数日の間、

私自身が服用するためです。

勿論、

私は病気ではありません。

ですから薬の効果は期待も何も、

私には無関係です。

が、

其の薬を服用する事での副作用なり、

身体の反応を、

自らの身体で実感するためです。

バカげた事とお考えになるかもしれません。

しかし、

これが私の仕事の流儀です。

日本歯科大学 新潟生命歯学部の学部長をお務めになられる

藤井一維教授のご専門は全身管理科です。

日頃、患者さんの健康上の問題に関する質問は、

藤井教授に問い合わせ、

その都度、正確なコメントを頂いてきました。

藤井教授は私の大切な仕事上のアドバイザーであります。

その藤井教授から昔、言われた機会が在りました。

自分で飲んでみたら?

作用機序が体感できますよ。

例えば精神安定剤。

頭に作用するもの、

心に作用するもの。

製薬会社の添付文書には、そんなこと記載していませんから。

高血圧の降圧剤もそう。

おしっこの出方の変化まで、

増えるから程度にしか書いてません。

行間は、体感から。

私は大いに感激したのです。

その通りだと。

以降10年来、

素直なる私は藤井教授のアドバイスを

身を以て実行しています。

その事で、

大いに勉強になりました。

たかが歯の治療と思われるかもしれません。

しかし、

患者さんの身体に優しい歯科治療を実践することは、

今後、超高齢化社会を迎える我が国の医師として、

最も必要な【基本のき】だと思います。