インプラント手術後の麻痺に対して


インプラントの埋め込み手術を終へ、

普通であれば、

もうしばらく待てば、

いよいよ美味しい食事ができる!と、

期待に胸膨らむ頃の患者さんがお越しになりました。

私の患者さんではありません。

他の歯科医院でインプラントの手術を受けた方です。

唇から頬の下部分の麻痺が、

私の診療所へお越しになられた理由です。

当然、執刀医には症状をお伝えしたようでした。

が、

腫れが治まったら麻痺は治るの一点張り。

日が1日、1日と経過し、

抜糸も終わり、

手術後の腫れもひいたのに、

症状は一向に改善する気配はない。

不安になって、

再び、執刀医に症状を申告したら、

ヤッパリ、

腫れが治まったら麻痺は治るの一点張り。

で、

不安が極度になったのでしょう。

とても、とても、

深刻顔で座っておられました。

こういう場合には、

レントゲンでの検査は当てになりません。

CTでも同様です。

インプラント手術の合併症である神経の麻痺は、

インプラントが神経を圧迫接触しているのは

稀であるからです。

画像上で、

インプラントと神経の接触が視れたなら、

救いはあります。

インプラントを少し浮かして、

神経との接触を取れば良いからです。

が、

多くの場合は、

粘膜剥離の際に、神経を傷つけた。

または、

ドリリングの際に、神経を傷つけた。

こういう場合には、

画像上での証拠は残りません。

患者さんの診察から、

患者さんの仰る言葉と症状、

丁寧な触診、

丁寧な視診、

本当に診察の基本の基本に立ち返って、

診断するしかありません。

で、

最終的には私は、

粘膜をもう一度開いて、

骨に傷が無いか?

そこまでして確定診断をします。

患者さんへは、

未だに粘膜に術後の炎症が残っていることを伝へ、

粘膜が火照っているという表現で、

静めてから始めましょうと。

待つのも、大切な治療なのだと

お伝えしたのです。

歯科治療は色々な行程を踏んで、

治療が執り行われます。

その際に、

どのステップかにおいても、

0点であれば、

掛け算となり、

全てが水の泡と化してしまうのです。

だからこそ、

厳しい自己評価が大切なのです。

この患者さんですか?

大丈夫です。

私がなんとかしてみせます。