ナイチンゲールの心


東京では初雪だそうです。

当地でも、冷たい木枯しの季節となりました。

私は終日、暖房の効いた診療所から出ることはありませんので、

お越しになられた患者さんの頬の赤みに

「 さぁさぁ速く!暖かい処で」

と、

手を引かんばかりに待合室へと案内し、

並んで腰かけて雑談に興じるのです。

私の診療所へ見学にお越しになられた歯科医の先生方は、

私の処での、

私と患者さんとの【距離】の小さい事に、

一様に驚かれるようです。

私は全く自覚してはいません。

私の診療所内での、

全ての事象は私に裁量権があります。

仮に患者さんが転ばれてお怪我なさったならば、

それは間違いなく私の不注意であり、

患者さんのお顔の色が優れなければ、

体調、心情どちらが原因であっても、

私は心を患者さんの中に入り込む動作に移るでしょう。

それが、

プロの臨床医だと信じていますので。

歯の治療を通じて生じた【縁】ですが、

歯でのお付き合いだけでは、

それは単なるビジネスでしかありません。

人と人との営みを、

私ら臨床医は重く感じて、

患者さんと接することが大切です。

其所は【役者】にならねばなりません。

ただ忘れてはならない大切な心、

【ナイチンゲールの心】です。