噛み合わせの精密な診断や、正確な人工歯の製作は、咬合器という道具を使うことが必須です。
この咬合器も、性能がピンからキリまであり、
正確な咀嚼を再現するためには、当然のことながら高額な機器が必要です。
また、幾ら上等な機械を使っても、歯の模型が正確に造られていることや、
歯の模型を正確に、この咬合器に装着していなければ、スタートラインが狂ってしまいます。
この手順は、歯科技工士の技量や性格に大きく左右されるのです。
私は昔から、このパナデント咬合器を愛用しています。
ロバート.リー先生を、師匠である内藤正裕先生が招待来日した際に、
数日、内藤先生の診療所にて、所謂、リー理論とパナデントの使い方等の手解きを受けたのがキッカケです。
内藤先生のお陰で、沢山の貴重な経験を積めたことは、私の大きな財産であります。
内藤先生も、レイモンド.キム先生の影響を大きく受けた若い時分があったそうですが、
現在の私の診療スタイルは、正に誰が観ても歯科医であれば、内藤正裕先生の影響を受けしことは明白でありましょう。
私の中で、もっともっと上手になりたい!という、歯科への情熱の源は、
狭い水の中で泳ぐ魚にならないように、
私を世界のトップレベルの仕事に触れる機会を創って下さった内藤先生のご厚意の賜物であると心から感謝しています。
但し、周りを見渡せば、診療チェアーを並べての効率良い診療で、豊かな生活を楽しんで居られる歯科医への羨ましさがないと云えば嘘になります。
が、患者さんの病状を前にして、絶対的な安定感のある治療をするには、
効率の良さと、
【食べる手段としての仕事としての歯科治療】という考えを
棄てなければ成り立たないのが現実です。
写真の症例は、今から本格的な治療に入る前の診断の模型です。
人工歯の製作は、内藤正裕先生の院内技工士の氏家さんによるモノです。
人工歯の製作は、歯科医と歯科技工士の共同作業です。
私らが正確に診断し、それで歯科技工士さんの手が、正確に私らの意志通りに動いて頂き、
加えて、豊かな美的感性を持った歯科技工士さんのセンスと手が絶対に必要です。
良いモノは、簡単には出来ないのです。
私は、近隣の歯科医から変わり者と言われているそうです。
が、私と氏家のペアとなった仕事の結果には、グの音も出ますまい。
この辺りが、歯のオタクの強味だと思っています。