若い時分から、未熟なりに自分の仕事を写真で残しています。
私の患者さんであれば皆さんがご承知ですが、
私は診療をカメラで撮影しながら進めています。
後から画像にて確認して、再評価するためです。
今、昔の仕事を改めて眺めますと、若さ故の真っ直ぐさも感じますし、
また、一方からの物事の観察眼からの未熟さに、冷や汗が出る想いです。
今年の大学での特別講義に於いて、
若い時分の症例を、学生さんたちに見せようと思い立ち、
古いスライドブックを開いたのです。
昔はデジタルカメラなどありませんから、フィルムで撮影していました。
現像が仕上がるまで、画像の確認は出来ません。
撮り損じがあっては、瞬間の様子が遺せませんので、
露出やシャッタースピードを色々と変化させて、
何枚も撮影して、無駄な浪費をしていました。
今ではデジタルの時代故に、便利になりました。
古いスライドをスキャナーにてデジタル化しようと思い立ち、
診療の合間に作業しています。
で、フィルムの山の中から面白いモノを発見。
今は社会人となった一番上の娘の幼い頃の写真です。
この娘は、人類の中で一番の私への批判者となりました。
池波正太郎の小説ではありませんが、
女子供には決して大人の男の心根など判るまいと、
黙って批判に黙しています。娘には娘の言い分があるのでしょう。
が、当の娘の心情とは反して、血とは恐ろしい程に濃いモノです。
再婚した私に授かった娘の顔は、驚く程に瓜二つでありました。
顔をクシャクシャに笑い、私に抱かれていた頃をこの娘の記憶には残っていないのでしょうが、
当の私は、この頃の残像が鮮明に身体に記憶している故に、
離れていても我が子の幸せを願っていない時はありません。
親とは、そういうモノだと思います。
古い症例写真や娘の顔に、胸が熱くなり、何だか目頭が‥。
歳をとりました。