しみじみと


手術が終わって自室に帰ったら3人姉妹がまとわりついてきます。

其々の話を順番に聞きながら、しみじみとありがたいと感謝しています。

一緒に居てくれるだけで、心が充たされます。

今夜の夕食は饂飩だそうです。

ー そんなんで良いの? ー

明日は診療所をお休みして、皆で出かけます。

それで倹約なのだそうです。

上の娘に、こういうことは従うようにしています。

家人の代わりを、確りと務めてくれています。

但し、恐がり屋で在るのは私譲りです。

毎夜、熟睡したる私を揺すり起こし

ー パパ、トイレ! ー

フラフラしながら手を繋いでトイレへと。

用をたすまで横で待たせて頂いて、

ベッドに入るや否や、私の横の場所で夢の中の末の娘をずり寄せて

私の首に両手を巻き付けて寝るのも何時ものこととなりました。

饂飩と冷蔵庫の中の余り物を思い出しながら、

なんにしようかと思案して次の患者さんを待っています。

寂しいとか、悲しいとか、なさけない気持ちは心から離れませんよ。

それは娘らも同じだと思います。

私は歯科は専門ですが、他の病気は治せませんから。

家人の快復は、神様、仏様とお医者さんに委せるしかありません。

当の本人の本心は判りませんが、私は家人と子供たちを大切にしてきた積もりです。

人生に於いては思いもよらぬことが起こりますが、

今は娘たちに支えられて過ごしているというのが正直な処です。

何事もないのが幸せであると、しみじみと感じています。