今年で52歳になる私ですが、ちょうど17歳の今日の日に、受験のために私は上京しました。
新幹線の窓からの光景は、恐らくは夕食時であったろうと思います。
流れゆく街の灯りに、それぞれに人の生活があるのだと感じたことを覚えています。
この街で暮らす人それぞれに、様々な生きようがあるのだろうと、
これからの自分の境遇に不安を隠せなかったのを覚えています。
幼い頃より私の側で私を見守ってくれた観音様の仏像を壊れぬようにと
タオルで包んで入れた鞄を脇に抱えて、上京しました。
商家に生まれ育った私は、親に内緒で歯科の道に入りました。
合格さえすれば、独り身の、私を溺愛する婦人科の叔父が援助してくれるに違いないと、
覚悟を決めて、秘かに歯学部受験の準備に将来の自分を賭けていた私です。
34年も経っても、あの時分の私を忘れることはありません。
恋い焦がれて歯科の道に入りました。
で、今の私があります。
遅くにホテルに入り、小さなベッド脇の机の上に観音様を安置して、
さぁいよいよ戦いが始まるのだと力んでいた自分の姿を懐かしく思います。
翌朝、直ぐに浅草の浅草寺にお詣りへと地下鉄に乗り、
それからの数日の出来事が走馬灯のように脳裏に浮かんできます。
なりたい仕事に就けた幸運に感謝する気持ちを忘れたことは、ズーとありません。
この感謝の気持ちを患者さんへお返ししたいと日々を過ごしてきました。