授業や講演で、自分の仕事の写真を観て頂く機会が多いのですが、
術前と術後の変化に驚かれて、歯科治療の可能性を再認識される様が伝わってきます。
時には手術の過程も観て頂いています。
ダイナミックな手術に見えるようです。
が、現実はダイナミックなどとはほど遠く、
コツコツ時間をかけて、些細な治療の積み重ねで治療過程は進みます。
被せものの冠を被せる治療においても、
歯を削った日に歯型を採り、次回に被せる等と云った急いだ仕事はしていません。
最初に削った日から徐々に形を仕上げていって、歯型を採るのは随分と後になってからです。
別段、イタズラに治療を引っ張る訳ではありません。
歯が愛しいから、歯が可愛いから、
歯に優しい治療がしたいからです。
歯型を採る時には、歯の麻酔などしなくても全く痛くはありません。
何故ならば、歯の中に防御層の新しい象牙質が出来るように手当てをしているからです。
削った歯の表面を化学的に薬品などでコーティングすることはしていません。
していませんと言うよりも、したくはありません。
身体の方が、自分から治すようにと仕向ける手当てをが、
より生物学的治療だと思うからです。
ある時から歯の声が聴こえるようになりました。
泣いている歯の声が聴こえるようになりました。
何処で聴いたのか判りませんが、近所の歯科医から
ー 歯が声を挙げる筈はない。アイツはキチガイ! ー
と、言われているのを知りました。
私には自分のことはよく判りませんが、確かに歯は喜びもするし、泣き叫ぶこともあるを実感しています。
確実に云えることは、生物学的配慮の基で行った治療は経過が良いと云うことです。