大きな隔たり


生きていると本当に色々な事があります。

私の患者さんも、ありとあらゆる方がいらっしゃいました。

普通の主婦の方、お医者さん、サラリーマン、自営業者、政治家、女優さん‥‥。

その患者さんからも、随分と多くの事を教えて頂きました。

私の診療所のスタイルは、たぶん他とは違うのだと思います。

私と患者さんの距離感は、他の歯科医院のそれよりも随分と近いのでしょう。

患者さんと一緒に、京都の南座へお芝居見物に出掛けたり、奈良の東大寺のお水取りへと出向いてみたり、
果ては祗園へと足を伸ばしてみたり‥。

仕事をする上で大切な考え方や行動の実際についても、多くの患者さんの身をもって見させて頂きました。

各界でご活躍される方、事業に於いて成功される方には、ある種の共通点があります。

また、不幸にして事業に失敗された方にも同じように共通点がありました。

その様な生きたお手本は、私にとっては本当にありがたい教科書であり、その機会を与えて頂いた事に感謝しています。

成功される人間の行動なり物事に対する考え方なり捉え方を、失敗される方が理解できる筈もないと云う事もよく判ります。

其れほど迄に、両者の間には大きな隔たりがあります。

その大きな隔たりの生じたる大きな原因は、その日の過ごし様の違いから生じる事も判りました。

人は産まれた時は同じように裸であり、神様が与えて下さった1日の長さも皆、平等です。

育った環境よりも、1日の過ごし様の違い、物事の受け取り方の違いの積み重ねの結果が、

紙一重で、成功と失敗の差となるのだと思います。

私は母校である日本歯科大学の学生さん達へ、

【教えてもらう心の準備】という言葉を使います。

この言葉は、祗園の舞子さんが修行中に何時も心がけて頭のど真ん中に置いておくのだそうです。

なにか同じ1つの事柄でも、観る方向の違いで、後に続く事柄が異なってくる様に、
僅差の違いで、全く異なった人生になるのだと思います。