言葉


昔、

歌謡曲で、

学生街の喫茶店・って唄がありました。

ご多分に漏れず、

私の・行きつけの店も・ありました。

フルールという名の・喫茶店です。

当時の私立歯科大学の学生はお洒落でした。

高級外車とブランド品ってノが・当たり前だった、

懐かしい時代です。

大学の近くに在るにも・関わらず、

この店に・お洒落な歯科大生が来ることは・ありませんでした。

お洒落さ・からは、ほど遠い空気が、

店の前からも・漂っていたからでしょう。

暇なマスターは、

カウンターで、

漫画本を眺めては・大笑い。

カウンター脇から

ゴキブリの子どもが・すーと、

走り去るのも・日常茶飯事。

イタリアン・ピラフ

メキシカン・ピラフ

ナンとか・ピラフ

メニューには・ソレなりの品々が・あるんですが、

出てくるモノは、

全部・同じピラフ。

笑っちゃいました。

ランチの食材は・全て業務用の揚げ物。

仕事に対しては、

全く・やる気ない方でした。

そんな店でしたが、

来る人は・来るんです。

リピーターばかり。

何故だろう?

調査の積もりで・通い出して、

結局、

私もリピーターに・なりました。

自宅に居る・安堵感とでも・言いましょうか。

そういう空気が、

このマスターには・ありました。

時代は移り、

学生街の喫茶店の・ほとんどが、

姿を消しました。

数年前、

トンカツ屋の前に・路駐し、

串カツ定食を堪能していると、

店の引き戸が・ガラリと開き、

懐かしい笑顔が、

あ~っ・ヤッパリ・三枝じゃあねぇか!

香川ナンバーが・在るっけさぁ。

もしや・してぃ・と・思ってさ。

フルールのマスターだったのです。

昨日、

何年かぶりに、

電話をいただきました。

69歳に・なられたとのこと。

さぁ・え~・ぐぅ・さぁ~・

なんて、

未だに呼んでくれる人が・少なくなりました。

私にとっては、

気を遣わないですむ・貴重な人材です。

今度さぁ・泊まりにくっべぇ。

酒でも・飲んでよぉ。

ありがたい一言でした。