青森の神様


【剣術と云うものは、一生懸命にやって先ず十年。このくらいやると多少の自信らしきものが出てくる。ところが、そこからもう十年、さらにまた十年、合わせて三十年も剣術をやると、今度はおのれがいかに弱いかということがわかる。四十年やると、もう何がなんだか、わけがわからなくなる‥‥。】

上の言葉は池波正太郎の小説での台詞です。
この中の剣術を、私の仕事である歯科道に置き換えても通じる真実だと、日々痛感しています。

歯科医に憧れて、憧れて、なりたくて、なりたくて、私はこの道に入りました。

無我夢中の三十数年でした。

未だ私は、歯科医学のなんたるかが判りません。

先日、縁が在って、本州の最北端の街を訪れました。

【青森の神様】と呼ばれているとは、ついぞ私は知りませんでした其の女性は私に、

ー 先生、歯で困っている人を救うのが貴方の生きる意味でしょ! ー

早朝からわざわざ玄関戸を開けて頂いて、沢山のメロンを切って頂いて、
長い長い時間を私のために、時には涙を流して向かい合って下さいました。

霊能者と人は、かの女性を呼ぶのだそうです。

科学を学ぶ私には、この様な現象を語る資格はありません。

しかし私は、神様を、佛様を心から信じて、毎日を手を合わせて暮らしています。

かの女性は、霊能者である前に、私は人として立派な人だと思います。

ご自宅から帰ろうとする私にかの女性は、小さな小箱を手渡して下さいました。

なかには金の小さなフクロウが‥。

そして箱の裏側には、

【この世の使命をはたすまで、やれば出来る、生きる! 木村藤子】