歯根破折


今年の新患の傾向としては、

圧倒的に【歯根破折】が多かったことが、

とても印象に残りました。

ニッケルチタン・ファイルの普及が、

迅速な根管治療の源泉となりました。

ニッケルチタン・ファイルの普及が、

湾曲した根管治療にチャレンジできる【勘違い】に、

拍車をかけました。

その結果、

【拡大され過ぎた】根管、

本来の根管から反れ、

根管壁を穿孔された無残な根管、

破壊された【生理学的根尖孔】。

ニッケルチタン・ファイル登場以前には、

決して観られなかった・レントゲン像が認められるようになりました。

その根管の中に、

大きな期待を持たされたファイバーポストと接着性レジンセメントの複合体。

器材、材料の進化を、

まるで、

大洋から登る朝日のように、

大きな期待で、

信用しきった善良なる歯科医師は、

考える行為を放棄したのでしょうか?

歯を甘くみては・ならないと、

恐々、治療する私は小心者の愚か者でしょうか?

そのような支台歯に、

コンピューター委せのCAD/CAMクラウンを被せる暴挙。

先人たちが、

苦労辛苦の繰り返しから生まれた

精密鋳造とセラミック・ビルドアップの技術を

まるで嘲笑うかの昨今。

技術の進歩に対して、

客観的な評価と、

臨床応用へのブレーキ役が歯科医師なのでは?

私は・そう感じています。