今朝からも手術です。
本来であれば【難症例】の部類に入る患者さんです。
難症例と云える症例でも、
注意深く【観察】すると、
目には決して見えない
赤外線レーザー光線が、
侵入者を妨げようと、
蜘蛛の糸が絡まるように。
そんな光景を映画などで目にする時が在ります。
【難症例】とは、
そのようなモノです。
ですから、
獸の眼を持つことが、
私ら医師には必須なのです。
で、
根気よく、
気長に、
丁寧に、
丁寧に、
網を掻い潜るかのように、
難しい地雷を1つ1つ、
取り除いてゆくのです。
【難症例】と言えども、
こうなれば、
後は簡単なモンです。
最後の起爆装置を外す際には、
丸裸ですから。
今朝の患者さんの、
今日を迎えるために、
私は患者さんと一緒に準備してきました。
上の奥歯部分の治療です。
歯の根が折れて、
大きな大きな骨の欠損と吸収が進行していました。
上顎洞底挙上手術は必須ですが、
この患者さんの上顎洞の形態は、
おいそれ、
さぁ手術と云うべきモノではありません。
CT所見においても、
そう語っていました。
無知なる術者であれば、
開いてみて、
愕然と!
そういう上顎洞です。
葡萄の実が束ねたような上顎洞だと云うことです。
咋冬に、
私は手術に挑みました。
1つ1つの、
上顎洞を手当てすると云う
極めて細かな手術だったと
覚えています。
骨の欠損の大きさから、
崩れた歯槽の形を戻すにも、
様々な粘膜外科のテクニックを
必要に応じて、
使い別けて行いました。
そうです。
何時だったか、
讃美歌のCDを流しながら執刀した症例です。
今日、
いよいよインプラントを埋入します。
複数のインプラントの埋入ですが、
よりシンプルな形へ、
より簡単な状況へと、
難症例を時間をかけて、
手間隙かけて、
余計なモノは取り除いてから、
本丸を攻める。
これが、
私の治療方法です。
インプラントが入るべき部分に、
ピンポイントで、
インプラントが入るべき方向に、
真っ直ぐに、
危ない組織を避けるように、
私の手から、
インプラントは、
骨に吸い込まれるように、
自ら入ってくれるでしょう。
予定手術時間は1時間。
その後は、
上顎全部にインプラントが入っている患者さんの
セラミックワークのチェックです。
今日はダイレクトボンディング修復あり、
オールセラミッククラウンのセットもあり、
セラミッククラウンの歯型採りもあり、
大変、
密度ある1日になるでしょう。
新しい患者さんが、
次から次へと、
遠方にも関わらず、
途切れることがありません。
治療のメインを迎えるための
初期治療と云う大切な段階を
決して疎かにしないことが、
歯科治療の王道だと思います。
日本歯科大学の臨床教授の看板は、
決して軽いモノではありません。
日本で最初で最大の歯科教育.研究機関の
附属病院の最高品質を私は、
継続的かつ安定的に
手当てしなければなりません。
その重圧は、
相当なモンです。
しかし、
私はやり遂げますよ。
歯の番人ですから。