逆境に遇した時に


IMG00199 人は生きている間には
様々な苦境に
立たされる時を
経験するが、
其の境遇に在る時に
何を想って過ごすのであろう。

 新潟の人情横町は
車が一台も通れば
やっとと云う位の
小さな小路で
概よそ半世紀は
十分には経過しているであろう
バラック風の平屋長屋の
暮らしに根付いた商いを
営んでいる商店が
建ち並ぶ処である。

 私が新潟に在る間は
此の横町近くの
白龍大権現に参拝するを
日課としている為に
毎日、此の横町を訪れる。

 早朝である為に
未だ店商いは
始まっていないが
人の通りが無くとも
其処には
人の情を
感じさせてくれる
何かが在る。

 先日、
魚屋の軒下に
村上の三面川を登って
故郷の越後へと
帰って来たであろう
鮭の
寒風曝しが
眼に入ってきた。

 生き物とは
在る意味
この様なものかもしれぬ。

 風に身を曝し
此れを定めと受けとるのか、
風に因って
鍛えられ、
更に強く、
更に熟成させようと
自身の中の魂を
鼓舞させるのかは
紙一重であるが、
要は、
其の人の
心の持ち様である。