穏やかに


私は決して社交家ではありません。

診療所での仕事。

大学での仕事。

あとは殆んど、自宅から出ません。

出るとすれば、

犬の散歩と書店へ行く程度。

会合、パーティー、忘新年会などは完全パスの、

人付き合い悪い質だと思います。

私の恩師の一人に、

山口隆二先生という方が居られます。

私よりも10も年配の大先輩です。

先生は現在でも見た目はお洒落の若作り。

海軍士官を彷彿させる姿に、

女性にはモテにモテにモテまくり、

若い時分から、相当 長期に渡って、

女殺しの竜という異名の持ち主でした。

が、

今では表情、言動はおろか、

何から何まで穏やかな紳士へと変貌されて居られます。

先生の趣味は料理。

ご自身の昼食のお弁当から、

ご高齢のご母堂様の一切の食事のお世話を

毎日、手料理でという塩梅。

人は変われば変わるモノだと。

先生と私は、大学事務方、

そして上層部から、

当時から在籍しておられる医局員、

そして彼らから聞いた若い医局員、

となると、

全員なんですが、

ヤンチャ坊主の典型であったというのは衆目の一致する処。

そんな私たちですが、

ヤりたいことは全てして済ませた結果だと思っています。

池波正太郎氏の言葉ですが、

人は良いことをしながら悪いことをする。

悪いことをしながら、良いことをする。

人間なんて、そんなモンさな。

そう言う意味で、

私たちは、

もう好好爺になりました。

が、

心の中には、

未だに熱い情熱の火が炎々と燃え続けてもいるンですよ。

今日も手術です。

綺麗仕事に務めさせる頂きます。

患者さんにとっては、

一つしかないかけがえのない大切な身体の手当てですから。