両刃の剣


歳も歳ですし、立場も在りますので、

心が一杯になるまで溜めに溜めこむ事が

身体に堪えるのでしょう。

その様な時に、大学時代からの親友である

現在は医療系大学において解剖学の教授を務めている

浅見博士に話を聞いて貰っています。

博士は温厚なる人柄であり、

かく在りたいと、

私は博士を羨ましく思っていました。

が、

「三枝のブログを読むんだけどね、俺たちは同じ人種なんだよな!」

驚いた私です。

「歯科医の仕事って他人目には判らないパッションっていうか、

それが肝心なんさ!」

「静かに見える治療も、手の先にエネルギーをブツケテさ!」

「キツい仕事で、其れで俺は臨床辞めて、学者になったんさ」

「一般の人間には判らないさ」

「三枝の仕事は両刃の剣さ」

私の仕事にはテッペンはありません。

自分の仕事の未熟さを、毎日、身をもって悟らされます。

バランスのとれた人間になるか?

名人芸を身につけるのか?

その辺りの問答はレベルがある一定の段階に至っていないときのモノです。

私らの仕事は、人タラシでなければなりません。

この先生に託したい!と云うあり得もしない自分を演じねばなりません。

現実に、その様な仏様のような人など居る筈もないのに。

私らの仕事は、最後の最後は腕だと思います。

但し、患者さんがどのレベルでの治療を望んでいるのかも、

その時々に変わってきます。

患者さんの要望を誠実に聞く事が、

将来トンでもない結末に至ると専門家故に

判る時も度々在ります。

誠意をもって説明しても、

逆に採られて、心傷つく時もあります。

其れでも、

私らは心傷ついても、

真の言葉を語らねばなりません。