手本


幼い頃の正月は、学校の宿題であった書き初めに随分と頭を抱えこんだモノです。

大きく新聞紙を拡げ床に敷き詰めて、半紙と手本を並べてニラメッコしたのを思い出します。

こうして考えてみると、大人になっても生きる上での手本があるように思います。

歯科と云う仕事について随分と経ちますが、

其々の時代に、あぁ彼のようになりたいと憧れる先人が手本となって導いて下さったと感謝しています。

私は、この10年ほど池波正太郎を手本にと彼是と気を使っているのですが、
なかなか此れが難しいのです。

何時まで経っても、あの書き初めに苦心した幼い頃と変わらぬことに、忸怩たる心持ちを覚えるのです。

眼前で池波正太郎料理帳が放映されて、今夜はこの一品で一杯杯を傾けようと、またたわいもない事を考える正月休みの終盤の昼下がり。